SFC修行

「当日アップグレード」の全て。プレミアムポイントはどうなる?

2016年9月29日

f:id:romulus_k:20160828010101j:plain最終更新:2017年12月23日
ANAの利用では、普通席を予約している状態から、空席があれば条件次第で差額を支払い、プレミアムクラスにアップグレードすることができます。

この記事では、アップグレードの条件やかかる費用、SFC修行に対する影響、アップグレードの受付場所などについて解説しています。
(2017/12/23追記)
2018年4月1日搭乗分から、この当日アップグレードに関するシステムは変更されることが発表されました。
搭乗当日の2日前から事前アップグレードが可能になり、料金設定が路線ごとに変更となっています。詳細は以下の記事を参照してください。

www.romulus-k-anaume.net

プレミアムクラスへの当日アップグレード

特典航空券や旅割75を中心として、普通席で確保している予約をプレミアムクラスにしたい、という場合に使うのが「プレミアムクラスへの当日アップグレード」です。

当日アップグレードは一区間あたり一律9000円です。
元の運賃の価格や種別、路線などに影響されることはありません。
アップグレード後に得られる以下のような特典は、プレミアムクラスを元々予約していた場合と同じです。
・ANAラウンジの利用
・優先チェックインカウンターの利用
・専用保安検査場の利用
・優先搭乗
・手荷物許容量優待
その他欠かせないのがプレミアムクラスの快適さですが、このあたりは以下の記事でも言及しています。参考にどうぞ。

またANAの公式ページでは、

※ お持ちの航空券の運賃により、プレミアムクラスへの変更額が異なる場合があります(上記金額より低額になる場合があります)。

という記載があるのですが、これは国際線利用で、24時間以内の国内線乗継があった時の場合ですね。免税になるので、その分が差し引かれて+8,334円でアップグレード可能となり、通常よりも安くなります。

その他の方法としては、アップグレードポイントを用いる方法があります。
こちらはプレミアムメンバーになってからの方法、ということになります。ブロンズ会員の場合はその方法もありますが、アップグレートポイントを使用した場合はフライトマイルやプレミアムポイントの変動がありません。
そのため、通常のSFC修行においては9000円を払ってアップグレードする以外に方法がないということがほとんどかと思います。
アップグレードポイントについて詳しくは、以下の記事もご参照ください。

www.romulus-k-anaume.net

当日アップグレードが可能な条件は「当日空港にて、空席がある場合のみ」です。空席待ちも可能ですが、どちらにしても空港に出向く必要があります。また、空席待ちで確保された場合は出発時刻の直前に確定するためラウンジを使うことができず、プレミアムクラスのメリットが若干薄くなります。

また、2区間以上のフライトがある場合は、当日アップグレードの受付はどの空港のチェックインカウンターでも受付できます。ただし、空席待ちは出発地の空港でないとできません。
例えば今、新千歳→関西→那覇と乗り継ぐ予約を全て旅割75で予約していて、この内「関西→那覇」の路線の当日アップグレードをしたい、とします。
関西→那覇のプレミアムクラスに空席があった場合は、新千歳空港でこの区間の当日アップグレードができます。
しかし関西→那覇のプレミアムクラスが満席で空席待ちをしたいという場合は新千歳空港ではできませんので、関西空港まで飛んでから、そこで空席待ちをする必要があります。同じ種別においては受付時間が早いもの勝ちになりますので、乗り継ぎで空席待ちになった場合には、アップグレードの成功率はかなり落ちると思われます。

SFC修行における当日アップグレード

SFC修行においてプレミアムクラスが重要だという話は、プレミアム旅割28やプレミアム株主優待を中心にスケジュールを組むべきだという記事を書いたりしながら何回か主張しているところです。その大きな理由が、獲得できるプレミアムポイントの数が多くなるということです。

これが、当日アップグレードの場合だとどうなるか。というところなのですが。
費用対効果について、検討してみましょう。

一番はまず「当日アップグレードした場合にプレミアムポイントはどうなるのか」というところでしょう。
例えば旅割75(運賃種別7)で今、新千歳→福岡までの予約をしているとしましょう。
これにこのまま乗った場合のプレミアムポイントは
区間マイレージ882×国内線2倍×0.75+搭乗ポイント0=1323PPです。
これを当日アップグレードした場合、倍率の0.75の部分が50%増しになり、1.25になります。獲得できるプレミアムポイントは
区間マイレージ882×国内線2倍×1.25+搭乗ポイント0=2205PPです。
増える獲得PP数は区間マイレージと同じ数、ということになります。

ではこれに対して、最初からプレミアム旅割28またはプレミアム株主優待(いずれも運賃種別2)で予約していた場合のプレミアムポイントはどうなるかと言うと、
区間マイレージ882×国内線2倍×1.25+搭乗ポイント400=2605PPです。
最初から運賃種別2で予約していた場合の方が、獲得PPは400PP多くなります。

当日アップグレードした場合と、元々プレミアムクラスで予約をしていた場合との違いは何か。
そう、「搭乗ポイント」の差です。
搭乗ポイントは元々購入していた運賃種別によって計算されるため、旅割を当日アップグレードしても付かないんですよね。
PP単価や獲得PP数を計算する上でここは重要なので注意する必要があります。

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これは新千歳空港起点の運賃種別ごとのプレミアムポイント一覧ですが、この中に「旅割+当日UG」の場合の獲得PPはない、ということになります。
ANAのプレミアムポイントシミュレーションでも、この数値は出せません。
「運賃2の数字から搭乗ポイント400を引く」。当日アップグレードを行った場合のプレミアムポイントが算出できます。

単純に運賃の額だけで比較した場合、プレミアムクラスを元から予約するのと、旅割75を予約して当日アップグレードのとでは、当日アップグレードの方が安くなることもあります。
しかし、PP単価としてとらえた場合にはこの搭乗ポイントの有無が影響するため、必ずしも当日アップグレードが有利、とはなりません。

最も多いパターンであると思われる、旅割運賃(運賃種別7)を当日アップグレードする場合、増えるPPは「区間マイレージ」の値と同じです。
新千歳起点で言うと、東京で510、大阪で666、福岡で882、那覇で1397です。

増えるPPは区間マイレージの値と同じ。そして、それに9000円がかかる。
つまり、9000円を払って区間マイレージと同じだけのPPを得ているわけです。
従って、当日アップグレードの部分のみでPP単価をとらえた場合、この部分のPP単価が10を切るためには区間マイレージが900を超える必要があるということになります。

区間マイレージ900という距離は、実はかなり限られた路線しかありません。
新千歳起点で言えば福岡でも無理で那覇だけですし、羽田起点でも那覇・石垣・宮古という沖縄以外の路線は900に至りません。
具体的には、以下の路線のみとなります。
・新千歳⇔那覇(1397マイル)
・羽田⇔石垣(1224マイル)
・羽田⇔宮古(1158マイル)
・仙台⇔那覇(1130マイル)
・新潟⇔那覇(1052マイル)
・名古屋中部⇔石垣(1044マイル)
・羽田⇔那覇(984マイル)
・大阪⇔石垣(969マイル)
・大阪⇔宮古(906マイル)

元のPP単価が高い場合は、当日アップグレードした方が合計のPP単価は下がることになります。例えば新千歳→福岡の場合でアップグレードの部分のみのPP単価は
882PP/9000円=PP単価10.20円
となりますので、元のPP単価が10.20円を超えていれば、合計のPP単価は下がります。
逆に、元のPP単価が10.20円より低ければ、アップグレードにより合計のPP単価は上がる、ということになります。

実際の自分の例で言うと、旅割75のタイムセールで片道9800円で購入した予約を、復路の福岡→新千歳だけ当日アップグレードできました。
元々のPP単価は1323PP/9800円=7.41円だったのに対し、アップグレード後は
1323PP+882PP/9800円+9000円=8.53円です。
タイムセールなので元々のPP単価が非常によく、アップグレードによって悪化しています。

ただし、合計の獲得PPは当然増えますので、アップグレードするべきかどうかは状況によると言えるでしょう。場合によっては、多少PP単価が悪化したとしても合計の獲得PPを増やした方がいいということもありますので、単価を取るか合計PPを取るか、という選択になります。
新千歳⇔那覇とか羽田⇔那覇あたりは基本的には全力で当日アップグレード一択です。

当日アップグレードの受付場所

「優先チェックインカウンター」の記事で書きましたが、当日アップグレードの受付には通常のチェックインカウンターに加えて優先チェックインカウンターも使うことができます。

プレミアムメンバーでなくても、堂々と優先チェックインカウンターに向かって大丈夫です。そしてさらに、もし当日アップグレードができなかったとしても、専用保安検査場が併設されている空港だったらそこを使うことができます。
自分の場合、アップグレードの空席待ちをしたのが新千歳空港だけで、新千歳空港の場合空席待ちの呼出待機場所が保安検査場を通る前にあるので、試したことはないのですが。

これは「あらかじめプレミアムクラスが満席であることがわかっている場合」に、地味に裏技として通用することなんじゃないかと思います。
空席があったら、専用保安検査場を通るためにはその場でアップグレードしなきゃいけないですけど、空席待ちならそうでない状況でも通してもらえるということになりますからね。実際の空席待ちの呼び出しは、その場にいなければ番号を飛ばされるだけでしょうし。

ただまあ、基本的には特別対応という感じでしょうから、ダメと言われても文句は言えないところです。使っていいのかどうかもためらわれるレベルで、決して喜々として使うようなものではありませんね。

当日アップグレードが空席待ちになった場合には「空席待ち整理券」が発行され、種別に基づいて決まった呼出時間(大体定刻の15分前)に、呼び出しカウンターでその結果がわかります。呼び出しカウンターの位置は空港によってチェックインカウンターの近くだったり、保安検査場を通った後の搭乗口付近だったり、さまざまです。
また、この際の「空席待ち」には、プレミアムメンバーに対する優遇があります。

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まとめ

当日アップグレードは9000円。これを高いと見るか低いと見るか。
PP単価と獲得PPを天秤にかけて、どちらを重視するかを考える必要がある。
当日アップグレードをする時は、優先チェックインカウンターも使うことができる。

特に旅割を中心にSFC修行のスケジュールを組んでいる場合には、獲得PPを増やして早期に50000PPを達成するのに有効な手段と言えます。

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