クレジットカードを発行するということは、自分に支払い能力があるという「信用情報」をカード発行会社に認められる必要があるということです。
それらの情報はどのように管理されているのか、また、自分で開示して確認する方法について解説します。
「個人信用情報機関」とは
いわゆる信用情報を管理している「個人信用情報機関」には以下の3つがあります。
①CIC(株式会社シーアイシー)
②JICC(株式会社日本信用情報機構)
③KSC(全国銀行個人信用情報センター)
クレジットカード会社、消費者金融、銀行といったようなこれらの「信用」を取り扱う業態が発展する過程において、複数の機関が存在している、ということのようです。
これらの内、クレジットカードを発行する、という場合においてはCICだけを意識しておけば問題ありません。
CICは全てのクレジットカード会社が加盟していて、申込を行った際にはCICに情報照会をするということが義務付けられています。
どのような情報が管理されているかというと、大きく分けて3つ。
①申込情報
クレジットカードやカードローンなどの新規申し込みに対して、支払い能力を調査するために加盟会社が信用情報を照会したという事実を記録します。
氏名、生年月日、郵便番号、電話番号などの個人を識別するための情報や、照会日、照会日時、商品名、照会会社名などの情報が記録され「いつ、誰が、どのような商品に申し込みをして信用情報を照会されたか」が残ります。
保有期間は照会日から6ヶ月間です。
正確には、申し込みをした月を0ヶ月目として、6ヶ月目の1日に申し込み情報が消えると言われています。1月に申し込んだとしたら、7月1日に申込情報の保有期間を過ぎてCICの情報からは見えなくなる、ということです。
「クレジットカードを申し込んで審査に落ちたら半年は間をあけましょう」というのはここから来ています。
②クレジット情報
クレジットカード会社とどのような契約をしているか、どのような利用をしているかという情報を記録します。CICの情報の中で最も重要な情報です。
申込において登録した氏名、生年月日、住所、勤務先などの情報の他、契約している商品の種類、限度額、入金の履歴、延滞・異動の記録などが詳細として示されます。
保有期間は契約中及び契約終了後5年間です。
どのようなクレジットカードを作ってどのような利用条件で使っているか、また毎月の入金履歴(=使っている履歴)があるかどうか、延滞をしていないか、という記録が残ります。
契約終了後5年間まで保有期間なので、カードを解約した後も5年間は記録が残ります。
③利用記録
クレジットカード会社が、契約者の利用期間中においての支払い能力を調査するために照会した記録が残ります。いわゆる「途上与信」というものです。
この途上与信があるので、例えば複数枚のクレジットカードを使っている場合には、どれか1枚でも延滞や異動の記録があると、問題なく使っているカードの更新などにも影響する場合があります。
こちらも照会から6ヶ月間記録が残りますが、いつ途上与信が行われているかは知る術がないので、CICの情報の中では一番意味のない項目と言えるかもしれません。
自分の情報を開示した時に「おおー、ちゃんと途上与信ってされてんのな」って思うくらいでしょうかね。
これらの記録と、申込の時に得られている属性を元にして、カード発行会社が総合的に勘案した結果、審査を可決するか否決するかを判断する、というわけです。
CICの情報は自分で開示することができる
普段の生活で、これらの情報を意識することはあまりありませんが、CICの情報は開示請求を行って自分で確認することができます。
インターネットによる開示、郵送による開示が手数料1000円、窓口での開示が手数料500円です。
窓口の方が安いのですが、平日の10:00~12:00、13:00~16:00のみの受付で、かつ窓口が設置されているのは札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、岡山、福岡だけです。実際には、インターネットによる開示が一番楽で現実的でしょうね。
インターネットによる開示の場合、手数料1000円はクレジットカードでのみ支払うことができます。
クレジットカードを作るための信用情報を確認するのにクレジットカードが必要というのもなんだかなあと思ったりもしますが、まあ仕方ないですね。
さらに、支払に使えるクレジットカードは、発行会社が若干限られています。
ご利用可能なクレジットカード|自分の信用情報を確認|指定信用情報機関のCIC
カードの裏面の発行会社を見て、支払ができるカードであるということを確認してから開示請求を行いましょう。
特に、国際ブランドがJCBの場合などは、カードに「JCB」と書いてあっても発行会社が違うため手数料の支払いに使うことができない、という場合があります。
また、インターネット開示に必要な環境も若干限られているので注意が必要です。
対応OSはWindows7以降のみ、ブラウザもInternet Explorer(と、その後継のEdge)だけです。自分はうっかりFirefox使って開示しようとしてエラーになりました。
インターネット環境について|自分の信用情報を確認|指定信用情報機関のCIC
実際の開示の流れ
それでは、実際にインターネットを通じて開示してみましょう。
ところどころ、CICのページから画像を引用していきます。
インターネットによる開示の受付時間は8:00~21:45です。土日祝日、年末年始等は関係ありませんが朝一と夜中は開示できません。
また、開示結果はPDFでダウンロードする形になります。これを閲覧できる状態じゃないと意味がなくなってしまいますが、まあ、普通はAdobe Reader入ってますかね。
開示の際にはまず、受付番号の取得が必要です。
この時の注意点は「クレジット契約で利用した電話番号」からかけるということですね。この電話番号を元にして情報を引き出すことになるので、別の番号からかけると全く情報がなくて無駄になってしまう可能性があります。
受付番号を取得したら、開示の手続きに移り「承諾事項」を一読して「承諾する」のチェックボックスにチェックを入れて「インターネット開示を行う」をクリックします。
その後、情報を入力していきます。この時に、受付番号と受付番号を取得した電話番号が必要になります。
入力欄には「その他電話番号」という欄があるのですが、クレジットカードを取得した時に使用した電話番号が他にもある場合はここに全て入力します。
引っ越しが多くて固定電話の番号が頻繁に変わっていた場合などは思い出すのも大変かもしれませんが、この情報がないと不十分な開示結果になってしまいます。
その後「確定」をクリックし、しばらく待っていると開示結果が出ます。
PDFのダウンロード画面が下に出てくるので、「ファイルを開く」または「保存」で任意の場所に保存します。
開示されたPDFはパスワードがかかっています。
開示の時にパスワードについて表示されているのですが、パスワードの法則は
「受付番号+クレジットカード番号の使用期限(月2桁+年2桁)」(初回開示の場合)
です。
例えば受付番号が123456でクレジットカードの使用期限が2021年09月だった場合は「1234560921」となります。
再開示の場合は「受付番号+0000」となります。
開示されたCIC情報開示結果の見方
CIC情報開示結果は、先に述べた3つの情報を元に構成されています。
まず初めに「クレジット情報」として、現在所有しているクレジットカードの登録情報、限度額、入金状況などの情報があり、次に「申込情報」として半年以内に申し込んだクレジットカードの情報、最後に「利用記録」として途上与信の状況が記載されます。
CICの開示報告書の見方については、公式ページにPDFで説明書が配布されていますので、詳しい情報が必要な場合はそちらを参照してください。
開示報告書について|よくあるご質問|指定信用情報機関のCIC
・クレジット情報の見方
一部、上記説明書からの引用を行いながら詳細を見ていきます。
「クレジット情報」のページはこのような構成になっています。
この例の場合は「1 / 3 件」となっていますが、これは3件、クレジットカードやカードローン、割賦購入契約などが登録されているということを指しています。
カードローンや携帯電話の割賦購入がない場合には、そのままクレジットカードの枚数がここにあたります。
A:登録元会社
カードの発行会社がここに入ります。
B:契約の内容、契約年月日
契約の内容と年月日が記載されます。クレジットカードの場合は「カード等」と入ります。
C:お支払の状況
D:返済の状況
E:入金状況
このC~Eの3つが非常に重要なところです。上の説明書ではDの返済状況の欄に「異動」と記載されていますが、これはいわゆる「ブラックリスト入り」という状態です。
入金状況で延滞を示す「A」という文字が並んでいて、信用情報は最悪、今後しばらくクレジットカードを作るのはかなり難しい状況になると思われます。
一般的には、61日以上または3ヶ月以上の延滞で「異動」の記録になると言われていますね。
入金状況に示される文字にはいくつか種類があります。
通常は「$」のマークが並んでいくことになり、クレジットカードの利用がない場合には「-」か空欄、という形になります。
基本的には、それ以外の文字がある場合には何らかの問題が発生していると考えていいかと思います。特に延滞の「A」は厳禁です。
ただこのへんの情報は、クレジットカード会社によって更新の頻度やタイミングがまちまちです。カード会社によっては、しっかりと毎月利用していても「$」マークを載せないという会社もあります。JCBのプロパーカードやアメックスやダイナースカードなどがその代表ですね。
例えばこの入金状況は、2016年8月に自分が実際にCICの情報を開示した際に出てきた「ヨドバシゴールドポイントカードプラス」の入金状況です。自分、このカードは社会人なりたてくらいの時に作ったカードで、ずっとこれ1枚で使用しない月もなく続いていたんですよね。つまり、このカードの実際の利用状況は「毎月欠かさず請求が上がっていて、もちろん延滞などしていない」という状態なんです。それでもところどころ「-」という表示だったり、空欄になっているんですよね。
H27年7月以降は「$」マークが載せられるようになっています。これだけ見ると「H27年6月までは全くカード使ってなかったけど、その後しっかり使うようになった人」みたいに見えてしまいますが、実態はちょっと違います。
こういった場合も、クレジットヒストリーに影響することはありません。大切なのは「延滞」「異動」といったようなネガティブな情報がない、ということです。カード発行会社も、支払が実際にあった場合にも「$」マークを載せない会社があるということはわかっていますので、問題となるのはやはり
・延滞(Aマーク)や異動などのネガティブな情報がない。
・審査に落ちたと思われる情報(申込情報があるのにクレジット情報がない状態)がない。
といったようなことになります。
おまけ
CICへの開示が正常に終了すると、後日、CICからハガキが送られてきます。
また、CICに開示した後の利用料金の請求は、かなり遅くなることが多いようです。
自分の場合、過去2回開示した時の状況が以下の状況です。
①3月5日に開示した時、使ったカードが月末締め翌月27日払いでしたが、請求が4月27日の引き落としに間に合わず5月27日に引き落とされました。
②同じく8月6日に開示した時、使ったカードが15日締め翌月10日払いでしたが、請求が9月10日に間に合わず10月10日に引き落としの予定となっています。
利用可能額はすぐに減るし、上に示した圧着ハガキが届いていれば請求自体に問題はないと思われますが、最初の時特にちょっと不安でしたね。
クレジットカードを安全に発行し続けるために
クレジットカードは非常に多くの種類があり、それぞれに魅力あふれるメリットがあります。時にはメインカードを変更し、決済の金額が大きく変わるということも多くあります。
ただその場合にも、意識しておくといいのは「発行後すぐに解約せず、ある程度使用すること」です。少額決済であっても、毎月の請求と入金が発生していることでクレジットヒストリーが形成され、次のクレジットカードの発行には有利に働くと言われています。
クレジットカードの審査については、カード会社は絶対に詳細を教えてくれません。
カード会社の入会案内デスクの人ですら、審査部の人がどのような基準でカード発行されているのか知らないわけです。商売における重要な情報ですから、まあ当然のことではありますが。
従って、クレジットカードを使う側の私たちができることは、推測でしかありません。少額でも毎月使った方がいいのか、少額なんだったら毎月じゃなくてある程度まとめて使った方がいいのか、本当がどっちなのかはカード会社のみが知るところです。そしてそれも、属性や発行するカードによって違う可能性すらあります。
それでもやっぱり王道というか、「こうしておけばおそらく間違いない」というところは出てくるんですよね。
基本はやっぱり「使うこと」だと思います。カード会社からしてみれば、発行している時点でコストがかかっていますので、発行したカードを使ってもらうことが何よりの信用であるということは、想像に難くありません。冷やかしみたいにカードだけ作ってその後知らんぷり、という人を信頼はできませんよね。
まとめ
クレジットカード発行に必要な信用情報は、自分でも開示することができます。
CICへの情報開示を行えば、現在の自分の信用情報はある程度判断することができます。
作りたいカードを作れない、という事態にならないように、自分の状況を把握して楽しいクレジットカードライフを送りたいものです。